一昨日のブログでオタクなネイチャーガイドと評された館長佐々木です。
今日もマニアックな、そして苦手な方にはごめんなさいなネタ。変わったヘビを発見したお話です。何度かこのブログの中でもお話していますが、元々、学生時代の専門はヘビとカエルの研究でして…どうしてもこういう話になってしまいます(笑)
今日ご紹介するヘビの名前はタカチホヘビ。先日、町内の路上で発見して捕獲しました。動物は頭胴長と呼ばれる、頭と胴体を合わせた長さで大きさを表現しますが、このヘビの頭胴長は41㎝。平均的な大人のメスです。上から見ると体の中心に黒い線が見えるのが特徴のひとつ。
少し詳しく見ていきましょう。頭のアップです。比較のためにシマヘビの頭も載せてみました。まず特徴的なのが目の大きさ。タカチホヘビはとっても小さいですね。実は、タカチホは地中性のヘビでミミズを専門に食べる変わった食性をしています。そのため、よく見える大きな目は必要なかったのかもしれません。モグラと同じですね。そして、よく見ると頭が油を塗ったように虹色に光っています。別にヌルヌルしているわけではないんですけどね。これも特徴の一つ。
そして他のヘビとの決定的な違いは尻尾の裏側のうろこです。これもシマヘビとの比較です。ヘビの場合、総排泄口と呼ばれるいわゆる"お尻の穴"があって、これより前が胴体、後ろが尻尾になります。そして、胴体の下面(腹側)のうろこを腹板、尻尾のうろこを尾下板と呼びます。一般的なヘビの腹板は1枚で、尾下版は左右2枚に分かれています。でもタカチホの場合、腹板、尾下板とも1枚になっています。状態の悪い死骸を見つけた場合などは、これが見分けの決定打になったりします。
なぜ、このタカチホヘビでこんなに熱く語るかというと…私の個人的趣味ももちろんあるのですが(笑)このヘビ、めちゃくちゃ珍しい種類で、おそらく大江町では公式には初記録。山形県内で考えても数例しか記録のない種類です。私自身も県内では初めて見ました。本州には8種類のヘビが生息していますが、ようやくこれで町内に全種記録できました。数が極端に少ない、というわけではきっとないと思うのですが、地中性ということ、そして夜行性であるということから滅多に人の目に触れないということだと思います。そのせいで、どこでどんなくらしをしているのか、ほとんど分かっていません。
今回の発見は、学術的にも貴重なデータと言えます。過去の記録などを少し調べ、詳しく計測などしたのち、学術雑誌に短報(短い論文)を出そうと考えています。こういう自然史の積み重ねが野生生物の研究につながっていきます。
あーやっぱ、俺ってオタクだわ(笑)
ライター:佐々木