いつもお世話になっている地域の方からお差し入れをいただきました。凍み餅という郷土のおやつ。高冷地の気候をいかしてつくる、手間のかかったありがたいおやつです。
この凍み餅づくりが行われるのは真冬。1月下旬から2月上旬にかけて1年で一番寒くなる時期。
凍み餅を簡単に説明すると、もち米を混ぜて炊いたお粥を成形して凍らせて干したものです。元々は保存食として作られていたもので、冷凍庫などが無い時代に自然の力のみで作られていました。
「凍らせる」「寒風にさらす」という工程があるため、凍み餅をつくる数日間は凍てつくような寒さでなければいけません。きっと昔の人はかじかんだ手を吐息で温めながら作っていたのでしょうね。
凍み餅づくりの工程の写真があるので少し紹介させてください。
これは硬めのお粥上にしたものを成形したところ。この状態で一晩外に置いて凍らせます。
凍ったものを藁やビニール紐などで編んだものを右の写真のように風通しの良い場所へ干します。
干し期間はなんと一冬!!!
しっかりと水分が抜けると下の写真のような状態になります。写真ではわかりにくいのですが、例えるなら発泡スチロールのような状態です。とても軽く、これがお米だったとは想像ができないくらいに乾燥しています。凍結乾燥状態です。
(炊いたお米を常温で放置しておくとカピカピになってしまいますが、あれは「老化」という現象で、ここでいう乾燥とはまた違います。)
この状態になれば長期保存が可能になります。食べる際には油で揚げて、甘じょっぱいたれを絡めていただきます。これが実は病みつきになるおいしさ!サクッと軽い食感に、口の中にじゅわ~と広がる油のなめらかさ、そして日本人が大好きな甘じょっぱい味付け。
気づいたら手が止まらなくなってしまうので、運動不足のスタッフたちは気を付けなければいけません(笑)
ちなみに、同じ「凍み餅」という郷土料理が福島県にもありますがこれは材料も作り方も全く別の物。お米を使っていて寒風にさらすという点は一緒なのですが、こちらの凍み餅にはオヤマボクチ(産地では「ごんぼっぱ」とも呼ばれています)という植物の葉っぱが練りこんであります。そのため色は緑~灰色をしています。食べ方も水でふやかして焼いて食べるのが一般的。
郷土料理は奥が深いですね。
※左が乾燥したオヤマボクチの葉っぱ、右が凍み餅(福島版)。
ライター:野木