稲刈り後の田んぼに生き物いっぱい

台風一過の晴天。今年の稲刈りも無事に全て終了し、乾燥中の稲の様子を見に行きながら生きもの探しをしました。


田んぼを始めて今年で3年目。去年、冬水田んぼを始めてから明らかに数が増えたのがこのカエル。ヤマアカガエルです。すでに沢山田んぼや池に集まってきていて、早春の産卵に備えてここで越冬するようです。気の早いオスが鳴いている声も聞こえました。アカガエルの仲間はカエルの中で最も産卵時期が早く、田植えの少し後には子ガエルが上陸を始めます。今年もものすごい数が上陸しました。まだ弱弱しい稲の害虫をかなり食べてくれていると期待されます。田んぼの害虫を食べてくれるだけでなく、ヘビの食料としても重要です。そのヘビやカエルを食べるのが絶滅が心配される鷹の仲間サシバ。このカエルが増えることは里山の自然再生のためには非常に大切なことです。


全国的に数が減っていると騒がれている赤とんぼの仲間。水たまりに産卵しているペアがたくさん見られました。ワンペアで写っている方がアキアカネ、ツーペア写っている方がマユタテアカネという種類です。今年は、全ての田んぼで殺虫成分の入った薬を一切使わなかったので数が増えたように感じます。来年はもっと数が増えるかな♪



こちらも赤トンボの仲間でキトンボという種類。赤とんぼなのに黄とんぼって、変な感じですね(笑)山形でもあまり数の多い種類ではなく、私が以前住んでいた関東では本当に局所的にしか見られないレアな昆虫です。私の写真技術では伝えきれないのが歯がゆいですが、飛んでいると翅が黄金色に輝いて見えて本当に美しいです。


除草剤を使っていないので池や水路の周りには雑草がたくさん生えます。秋に水辺を彩るミゾソバの花にはハチがたくさんきていました。大きい方がキイロスズメバチ、小さい方がニホンミツバチです。ニホンミツバチにとってスズメバチは天敵ですが、ここでは争うこともなくそれぞれ花から花へと忙しそうに飛んでいます。ミツバチの方はお隣のおじさんの巣箱から飛んできたに違いありません。



チョウもいろいろ見られましたが特徴的なものを。右向きで写っている方がオオウラギンスジヒョウモン、左向きで写っている方がツマグロヒョウモンです。秋はヒョウモンチョウの仲間がよく見られます。この2種に共通しているのはどちらもスミレの仲間に卵を産むこと。オオウラギンスジヒョウモンの方は、お尻がグイッと曲がっているのが分かりますか?産卵中のお母さんです。翅が欠けてしまっているのが、これまでの頑張りを象徴しています。除草剤を使わないので、湿生のニョイスミレの大群落がこの辺りにあります(写真では他の植物に隠れて見えませんが…)。

ツマグロヒョウモンは、実は山形では初めて見ました。このチョウ、本来は南方系のチョウで、山形にはほとんど生息していないはずの種類。近年、分布を拡大していることで話題になっています。分布拡大の原因は、温暖化の影響とも、スミレ類の園芸種(パンジーやビオラなど)が大量に植栽されるようになったこと、とも言われています。ここで定着しているのか、台風で飛んできたところなのか…今後の動向が要チェックです。



他にも色んな生きものがいましたが、全部紹介していると延々と続いてしまうのでこのあたりで…。こうやって沢山の生き物がいるのを見ると、苦労してできるだけ農薬を使わないようにしたり、冬水田んぼや池を作ったりしてきて本当によかったなぁと感じさせられます。

ライター:佐々木