昨年に引き続き、東北芸術工科大学の新1年生が授業の一環で体験プログラムに来てくれました。1年生81名+先生方+先輩の学生さんの総勢87名。今日はそんなお話し。
体験プログラムのテーマは「しごと」。
「しごと」をテーマにしたプログラムというと職業体験のようなものをイメージしますが今回の趣旨は、大学生らしくもう少し深い所まで考えてみました。
「しごと」=「職業」というだけではなく、人間を含めて世の中に存在する全ての生きものが「役割を持っている」=「しごとをしている」のではないか?という考え方を前提にして、自分たちの食事が出来上がっていく過程を、体験を通して考えました。
薪割り班のしごとは食事を作るための燃料作りです。地元の林家の皆さんを先生に、チェーンソーで丸太を切ってみたり、重たい斧を振り下ろしての薪を割ってみたり。薪割りって簡単そうに見えて、とてもコツのいる作業。難しさを体験してもらいました。
山菜班は食材探しがしごと。フキノトウをメインに探しつつ、途中カンゾウやアサツキなども採ってきましたー。出発前のアンケートでは、約20人いた山菜班の中で、山菜摘みの経験者はわずか1名!ほとんどの人が初体験です。ぜーんぶ同じように見える草の中に、食べられるものと、そうでないものがある。歩を進めるにつれて少しずつ、見分けられるようになっていきました。写真はアサツキを採ってちょっとお味見…の様子。
ニワトリ班のしごとは、ニワトリの屠殺・解体です。ニワトリを抑えるなんて、もちろん初めての経験ですから、おっかなびっくり。案の定、9羽中4羽が脱走です…。山の中まで逃げましたが、無事捕獲。さっきまで生きていたニワトリが、見慣れたお肉に変わっていく様子は、頭では分かっていても実際に見ると考えさせられる体験です。学生さんたちは怖がったり気持ち悪がったりするわけでもなく、生きものの命から何かを学び取ろうと、積極的に、真剣に作業を進めていました。
みんなで持ち寄った燃料と食材を使って、いよいよクッキングタイム。フキノトウご飯の上に、鶏肉と山菜の中華餡かけを乗せ完成させました。命を頂くから「いただきます」。実際に体験をするとそれが実感できるのではないでしょうか?「はらくっつー(お腹いっぱい)だけど全部食べきる!」と中華丼を「いただいて」いました。
ニワトリはもちろんですが、山菜も、薪になる樹木も、全て生きもの。その命を頂いて私たちは生きています。彼らの「しごと」、彼らを育てたいろんな生きものや人たちの「しごと」のおかげで私たちは生きています。
大学生活はまだ始まったばかり。長いようで短い学生生活ですが、何を学び、どんな「しごと」を選ぶのでしょうか?今日の経験が、何かの参考になれば幸いです。
ライター:村中