冬を迎える準備

田んぼの稲杭の架け替え作業、2回目を行いました。前回もそうだったのですが、一人作業で写真を撮れず…。作業中によく声見かけた鳥と虫の話。


たびたび目にした鳥は、モズという種類です。ケケケケケ!!と甲高い声で鳴き続けています。モズの高鳴きと言われますが、日本の里山の秋のを象徴する音ですね。

この声は、縄張り宣言の声です。モズは、秋から冬には1羽ずつ縄張りを持ち、縄張りに入ってきたものは、同種のモズだけでなく別の種類の小鳥であっても激しく追いたてます。繁殖のための縄張りではなく、冬の間の食糧を確保するために縄張りを守っているので同種であるかどうかは関係ないのでしょう。※写真は、別の季節・場所で撮影したものです。


そして、姿を見かける機会が多かった虫はコレ。キイロスズメバチです。

この時期、スズメバチの数は1年で最も多くなるので、事故が起こることが多いですね。「殺人蜂」なんてひどい呼び名でマスコミに紹介されることもありますね。

さて、そんな殺人蜂を素手でつまんでいる写真をご紹介。もちろん、このハチ、生きてます♪

なぜ、刺されないかと言うと、このハチ、オスなんです。ハチの毒針は、もともと産卵管が変化してできたもので、メスにしかなく、オスは針を持たないので刺されないのです。オスメスを見分ける絶対の自信がなければ、真似はしないでくださいね(笑)


さらにスズメバチのうんちくを少々。

 

まず大前提として、スズメバチの巣にいるハチは、女王蜂も働き蜂も全てメスです。オスはいません。完全な女系家族で構成されています。女王蜂は卵を産むことだけに専念。巣材を集め、巣の増築、卵や幼虫の世話、食糧集め、巣を守るガードマン…全てメスの働き蜂が分担して働きます。

 

女王蜂は、秋になると働き蜂の卵以外に、新女王候補(ここではお姫様と呼びます)の卵を産みます。成虫まで成長して飛べるようになったお姫様たちは、次々に古い巣を出て越冬場所へと旅立っていきます。

 

一方、このお姫様たちが生まれるのと時を同じくして、今までメスしかいなかった巣にオス蜂が生まれてきます(ここでは王子様と呼びます)。女王蜂は、オスメスを産み分けることが出来るのです。王子様たちは、働き蜂のような仕事は一切しません。お姫様たち同様、古い巣を飛び出します。でも向かう先は越冬場所ではなく別のスズメバチの巣です。

 

王子様たちがたどりついた別の巣。自分たちがいた巣と同じように、この巣からも越冬場所に向かうお姫様たちがどんどん飛び出してきます。王子様たちの狙いはこれ。待ち構えてお姫様を捕まえ、交尾をしようとします。しかし、働き蜂達は別の巣からやってきた王子様たちを侵入者と見なして排除しようとします。針を持った働き蜂の方が圧倒的に戦闘力が上。王子様たちはどんどんやられていきます。

 

そんな働き蜂の猛攻を切り抜けて、お姫様を捕まえることができた勇敢な王子様だけが、次世代に子孫を残すことができます。

 

冬になると、女王蜂、働き蜂、オス蜂は全て死んで、巣は全滅します。生き残っているのは、王子様と結ばれることが出来たお姫様たちだけ。お姫様たちは、それぞれ、朽木の隙間や樹洞などで冬眠し、次の春を待ちます。

 

春、目覚めたお姫様たちは、自分の巣を作るための場所を探します。でも、そんな簡単にいい場所は見つかりません。幸運にも、新しい巣をつくるのにいい場所を見つけることができたお姫様だけが、新しい女王蜂となり、王国を築くことが出来るのです。


頑張って物語風に書いてみましたが、文才がないのでイマイチ、ドラマチックさが伝わりませんね(笑)

いずれにしても、今日捕まえたこのハチは、1年でこの時期にだけ見られるちょっと珍しいスズメバチの王子様ということです。巣の周りを激しく飛び回り、バチバチと攻防を繰り広げていました。

 

今日の写真は、キイロスズメバチですが、オオスズメバチを題材にスズメバチが繰り広げる命のドラマを描いた小説があります。百田尚樹氏の「風の中のマリア」。おすすめの一冊です。これを読むと、スズメバチへの見方が変わります。私はスズメバチが大好きになりました。→外部リンク(Amazon)