土と雑草

機材不調につき、28日の記事を29日になってから更新しています。いつも楽しみに読んでいただいている方、申し訳ありません。今日は、やまさぁーべの敷地内に生えている雑草の話です。


やまさぁーべオープンの2年前、このあたりで豪雨災害がありました。その時、やまさぁーべも、裏の沢からグラウンドに土砂が流れ込んでグラウンドが泥だらけになるなどの被害を受けています。

昨年、その泥をはがす工事を行ったのですが、土砂の行き場がなかったため、グラウンドの隅で冬季限定の滑り台として活用することになったのです。

さて、写真がその滑り台なのですが…なぜか滑り台だけ緑色になっています。写真右(スマホ表示では写真下)はその滑り台の上から撮った写真。別に、グラウンドにだけ除草剤を撒いた、というわけではありません。グラウンドにあった土砂(滑り台になった土)には、山から運ばれた草の種がたっぷり含まれていたのですね。そして、はがされたグラウンドの土には種が含まれていないので草が生えてこなかった、ということです。土はたくさんの種を含んでいるので、シードバンクなんて呼ばれることもあります。この草が、自然を守るうえで、とっても大切な役割を果たします。



草は、「雑草」として嫌われがちですよね。やまさぁーべではこの雑草を大切にしています。雑草は、草刈で生えてくる種類までかなりコントロールできます。例えばこの写真は畑の周りの草地。狭いエリアなので月に2回ぐらい草刈をしています。そうすると、シバを中心にタンポポやカタバミなど草丈の低い草が生え、まさに芝生の広場の様な雰囲気になってきます。ススキのような背の高い草はこれだけ草刈をされると生えてこなくなります。


一方、ここはグラウンドと林の境目。少なくともこの2年ぐらいは草刈をしていません。ススキの間からなんと木が生えてきています。ヤナギの木です。湿った環境を好む木ですね。年に1~2回草刈をしていれば、ススキなど背の高い草はらになりますが、それ以下の頻度だと木が生えてきて最終的には樹林になっていきます。

このように、草刈の頻度を場所によって変えることによって、草の種類が変わり、全体としては生えている草の種類が増えます。そうすると、そこにくらす昆虫の種類も増え、鳥が増え…生物多様性が高まるわけです。


さて、最後の写真はこれからサツマイモの苗を植える予定の畑です。草はほとんど生えていません。耕していますからね。畑なので当然といえば当然なのですが、これは自然保護の観点からは好ましくない状態です。生きものがすみにくいのはもちろんですが、草が生えていなと大雨の時に土が流れてしまいます。そうすると、土地が痩せ、川は汚れ、海も汚れ…。広範囲の自然に影響するわけです。もちろん、こんな小さな畑が与える影響はたかが知れていますが、畑がたくさんあれば影響は大きくなりますよね。

 

さらに言えば、土は1cm増えるのに最低100年かかると言われています。栄養たっぷりな土は深さ約50cm程度。単純計算すれば5000年かけてできたもので、この土の栄養にすべての植物が支えられ、それを食べて人間を含めた動物がくらしているわけです。例えばショベルカーでガリガリっとやればあっという間になくなる深さですが、元に戻るには5000年かかります。これは一般論です。もちろん、場所によっても違いますし、堆肥を加え、分解を早めるよう耕して…と、人がいろいろ手を加えれば時間を短縮することはできますが、でも土づくりはやっぱり大変なものです。流れて失われてしまうのは、大変な損失なのです。

 

やまさぁーべでは、なるべく土を流さないように、畑の周りに草をはやして土留めにするよう心がけています。というか、それを草むしりをサボる理由にしています(笑)

作物を育てる農地でできる限り草を排除するのは、生産効率を考えれば致し方ないことかもしれません。でも、道端や、学校や、自宅のお庭や、農地の周り…残せる場所では、できる除草剤をかけずに、草刈で管理していきたいものです。

雑草が生えた場所は管理のされていない、汚い場所、という日本人の価値観を変えていきたいなぁ…なんて壮大なことを考えていたりします(笑)いつも思うのですが「雑草」という言葉が良くないですね。「野草」と呼ぶと、少し気分が変わりませんか?