スプリングエフェメラルという言葉を、このブログの中で何回か使ってきました。「春の儚いもの」という意味で、1年のうちでも春の短い時期にしか見る事のできない生きもののことを指してそう呼びます。カタクリやフクジュソウなど、花に対して使われることが多いですが、昆虫でもスプリングエフェメラルはいます。
まずご紹介したいのは、ビロードツリアブ。1cmぐらいの小さなアブで、体が金色の毛に覆われているのでビロード。口がとっても長いので釣り。動物を吸血するタイプのアブではなく、花の蜜を吸います。幼虫は土の中に巣をつくるハチの仲間の幼虫に寄生して育ちます。変わってますね。今、この時期にだけ見られる可愛らしい昆虫です。
そして、水路に給水に集まっていたチョウチョ。全国的に分布するルリシジミというチョウがいますが、これに非常によく似た珍しい種類でスギタニルリシジミといいます。ルリシジミは、春~秋まで1年中見る事ができますが、スギタニルリシジミはこの時期にしか成虫が発生しないスプリングエフェメラルです。最初、普通のルリシジミだと思ったのですが、何か雰囲気が違う気がしたので調べてみると、翅の表の青がちょっと濃いのと、翅の裏側の黒い点が不明瞭な白い環に囲まれているのがルリシジミとの違いなのだとか。写真を拡大してみると当てはまりました。また、生息地の条件は、幼虫の食草となるトチノキやミズキ、キハダなどが生える山地の渓流沿い。これも条件ぴったり。おお。やっぱ大江町はスゴイ。
ついでに山菜のこごみも出ていました。スプリングエフェメラルとはあまり言いませんが、春ならではの自然のめぐみですね。正式にはクサソテツというシダ植物です。